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子どもの遊びと科学の力

2010/7/28

2年ほど前、イギリスの教育政策の変更によって、シュタイ
ナー幼稚園は大きく揺れました。その政策では、幼稚園でも
コンピュータ教育をしなければならないとか、カリキュラム
をより「お勉強」に近づける方向性を持っているように見え
るものでした。

その中に「幼稚園でも科学実験をすること」というのがあっ
たのですね。

そのことに激昂していた同僚もいたのですが、私は、科学実
験ということに関しては、ある意味とても納得するのです。

受け取り方を間違えてしまうと、
「学校の理科室でやっているような科学実験」は「抽象的で
知性/思考に働きかけてしまう」ので、シュタイナー教育の
幼児教育にはふさわしくない。・・・となります。

でも、子ども達の遊びを見てみて下さい。

1.水を流し、どんなふうに水が流れるか見つめる。
2.砂場で砂山を作る。
3.砂や土に水を混ぜて、固まりやすくして造形する。
4.影を踏んで遊ぶ。
5.シーソーで遊ぶ。
6.ろうそくの炎を見つめる。

・・・子どもの遊びを数え上げたら切りがありませんが、
これらはすべて「科学実験」に繋がっています。

1.自然現象、水の性質、力学の観察
2.力学の実験
3.物質の粘度の体験
4.光の実験、太陽光の自然現象の体験
5.物理(力学)の実験
6.火の体験(熱、光、化学現象)

などです。

人間は、宇宙の中で、地上に生き、植物や動物がいて、
重力を受けて生きているのです。人間の暮らし、行動と
科学を切り離すことはできません。子どもだって、意識
しないだけで「科学実験」を始終行っているのです。

もちろん、子どもの遊びには公式も法則も出てきません。
数字を使って現象を測ることもしません。

知的な親が子どもにシーソーの原理などを説明してし
まっては台無しです。子ども達は、思うがままに体験し
意志の力で経験を積み重ねていけばいいのです。

でも、この体験があるからこそ、後に、学校の理科の授業
での抽象的な説明を聞いたときに、子どものころの遊び体
験から深いところに残っていた記憶と、論理/抽象思考が
結びつき、その現象が多角的に理解でき、概念がストンと
腑に落ちるのです。

この幼児期の「科学実験」について記事を書きたいな~と
思っていたところ、ユージーン・シュワルツの記事
「遊びから思考へ」を見つけました。
http://knol.google.com/k/discover-waldorf-education-from-playing-to-thinking#

この記事には、私が既に述べた子どもの遊び(シーソーと
か)が科学に繋がっていることが書かれていました。

もちろん、それだけではありません。

エーテル体(生命体)が肉体の言わば「形成力」ですが、
同時に肉体の記憶を担う体として働いています。だからこ
そ、私たちは私たちの一生を通して身体的特徴を保ち続け
ることができるのです。

人生の最初の7年間は、エーテル体が活発に働いており、
記憶力も最高の時期ではありますが、直接「記憶」に働き
かけるような活動はするべきではないと、シュタイナーは
強く言っています。この時期のエーテル体の力は、体を創
り上げ、オーガナイズすることに使われる必要があります。
純粋に子どもの成長のために力を使うのがいいのです。

シュタイナー幼稚園の子ども達は、幼稚園の中で「人間の
生活」を体験します。小麦をひき、パンをこねる。野菜を
ナイフで切ってスープをつくる。風雨の中でお外遊びをし、
羊毛から毛糸を紡ぐのを見て、紡いだ毛糸で編み物をする。
そんな「原始的」とでも言えるような体験から、彼らは、
直接「記憶」に働きかけることなく、意志の力を使って、
記憶を積み重ねています。

手足を使って感じ取る体験を、子どもに沢山させてあげたい
ですね。