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e-waldorf newsletter no.20

「権威あるシュタイナー学校の先生」
2011.3.28

地震からもうすぐ3週間が経ちます。
日本の皆様、いかがお過ごしでしょうか。
東北、関東地方の多くの地域で、まだまだ平常とは程遠い
日々であること、放射能の汚染やエネルギー問題など、不安
要素がいっぱいあるなかでの毎日の暮らしであること。
さぞかしストレスのたまることだとお察しします。

早く、被災地の方々に安心できる日々が訪れますように。
子ども達が心配やストレスを抱えず、のびのびと日々の生活
を送ることができるようになりますように。
人々に笑顔が戻りますように。

遠くのイギリスの地から、故国日本の様子を見聞きしながら
胸を痛め、祈りつづけています。

それでも、やはり、地球は回っており、世界は日々動いてい
る中、私も、私にできるだけのことを精一杯して、毎日を過
ごすことが大切なのだと信じて、一歩一歩ゆっくりと前へ進
もうとしています。

e-waldorf newsletter もいつも通り、発行します。
ニューズレターを楽しみにしてくださっている皆さんへのエー
ルになれば嬉しく思います。


シュタイナー小学校の教師は、「権威」でなければなりません。

シュタイナーは、そう言います。

ところが「権威」という言葉に拒否反応を起こしてしまう方も
いらっしゃるようです。「権威」というと、絶対服従の上下関
係を意味する事もあるからでしょうか。先生の言う事は「絶対」
で、そこには、子どもの自由意志は入り込む余地もなく、上から
押しつけられる教育。・・・権威という言葉からは、そんなイ
メージが沸き上がるのかもしれませんね。

日本の教育も、50年前はそうだったのかもしれません。
そういう歴史が実際にあるからこそ、教育現場での「権威」と
いう言葉を嫌がる人がいるのかもしれません。

また、シュタイナー教育の「自由への教育」に憧れるあまり、
「自由」と「権威」を相反するものと感じて、疑問を感じるこ
ともあるかもしれません。


でも、シュタイナー教育での「権威」は少し違うのです。

「権威」あるシュタイナー教師をイメージしてみましょうか。



教室に先生が入ってきます。入ってきただけで、教室の空気が
変わり、子ども達が静かになります。それは、決して、子ども
達が先生のことを恐れているからではありません。子ども達が
先生のことを恐れて静かになるときは、空気がピリピリします。
権威である先生が入ってくると、教室は心地よい新鮮な爽やか
さに包まれる・・・というとイメージできるでしょうか。

子ども達は先生のことを信頼し、大好きで、先生は自分たちに
大切な事を教えてくれると信じています。先生に新しい事を教
えてもらったり、練習をしたり、歌を歌ったりすることで、自
分たちが意味のあることをしていて、それは自分たちに大事な
事なのだと感じ取っています。だから、先生が教室に入ってく
ると、それだけで学ぶ体勢になります。そして、先生は自分た
ちを守って正しい方向へ導いてくれる人でもあります。子ども
達は、そんな先生がいることで安心できて嬉しいのです。

先生は、教室でルールを決めます。絵の具や本など、教室がき
ちんと整理できるように、整理の仕方を教えます。授業中にど
うしてもトイレに行きたくなってしまったときは、手をあげて
人差し指をたてましょうね、というように、授業を妨害しない
サインを決めます。手を3回パンパンパンとたたいたら、おしゃ
べりをやめてお話を聞くときですよ、というようなルールも決
めます。休み時間に皆が順序良くトイレに行けるように、順番
や並び方を決めたりもします。

そのようなことは、シュタイナー学校でない学校でもやってい
るでしょう。ただ「権威」のあるシュタイナー学校の先生のも
とで学ぶ子ども達は、「服従」しなければいけないからルール
を守っているのではありません。先生が恐いから従うのでもな
く、「先生の言う事は守らなければいけない」と教え込まれて
いるからでもありません。

権威である先生のルールに添って行動していると、教室が「安
心して学べる空間」になり、授業が「落ち着いて勉強できる時
間」になることを子ども達は知っています。そうなるようにク
ラスを包んでくれ指導してくれる先生のことを心の底から信頼
していて、安心できるからルールを守るのです。

こんな意味での「権威ある先生」のもとでは、子ども達がとて
も安心して勉強をします。やっていいこと、やっていけないこ
とがはっきりしています。先生を信頼していて、そして、先生
は自分たちの事のことを一番に考えてくれていると感じている
し、先生の愛を疑う必要もありませんから、子ども達は生き生
きと学校生活を送る事ができ、自由に息ができるようになりま
す。

「息」という言葉を使いましたが、以前も書いたように、シュ
タイナー教育ではリズムをとても大切にしています。息を吸う、
吐くリズム。それは、拡散、収縮のリズム。のびのびするとき
と、真剣になるときのリズム。

良い「権威」である先生は、このリズムを自然にクラスの中に
もたらしてくれます。緊張して真剣に勉強するだけでは、息が
つまります。疲れて、本当に集中しなければいけないときに、
力が出ません。一般的な学校生活にあるような、休み時間にの
びのびして、授業時間は緊張感を持って・・・、というのもひ
とつのリズムのありかたですが、子どもの自然のリズムに合う
ものではありません。授業そのものの内容にそのリズムを作り
出す事で、子ども達は本当の学ぶ力を発揮します。

そして、子どもと先生の人間関係もそう。先生は、自分たちを
導いてくれる人だから、先生の言う事をきちんと聞きます。そ
の緊張感のある人間関係。でも、その根底には、先生はとても
温かいひとで、自分たちのことを愛してくれている、そして、
自分の気持ちを受け止めてくれる・・・そんな安心感のある人
間関係。

そんな人が、シュタイナーの言う「権威」ある教師ではないで
しょうか。





個人的な話になりますが、最近、私の長男のクラス担任が変わ
りました。前の先生も素敵な先生でしたが、今ひとつ「権威」
にはなりきれずにいました。新しい先生は、にじみでるような
温かさと権威が備わっている素敵な先生です。心から信頼して
息子を任せようと思える先生なのです。

本当に「権威」である先生というのは、子どもだけでなく親を
も安心させ信頼させる存在なのですね。

シュタイナー学校に関わってきて何年もたちますが、「権威」
としての資質を生まれながらに備えている、根っからのシュタ
イナー教師である人がいます。そんな素敵な先生に出会えると、
その度に感動します。



素敵な先生に出会える事、ご縁がある事、何て幸せなのでしょ
う。本当にありがたいことです。





e-waldorf で今年から始めた「inspiration」というDVD付の
本があります。これを使って「通信教育」を始めました。
一緒に学び始めませんか。

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もうひとつ。
e-waldorf の活動の中で、もっと力を入れていきたいと思うの
が、学ぶ人たちとのコミュニケーションです。教材を作ってお
しまいの一方通行の形ではなく、学ぶ人たちともっと接点をもっ
て、人間としての繋がりを大切にしながら、共に学んでいきたい。
それは教育のとても大切な要素だと思うのです。

そのために、inspiration 通信講座で、私がメンバーの方と直接
電話でお話をしたり、スカイプやiChatを使って直接イギリス~
日本を繋いでコミュニケーションをしたり、ワークショップをし
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詳しくは、inspiration 通信講座グループ・メンバーシップのペー
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http://books.e-waldorf.com/index.php?go=YtwfYu

少しずつですが、シュタイナー教育の学びを身近なものにする
ために、これからも活動をしていきます。

これからもよろしくお願いします。


4月29日(東京)、5月3日(豊橋)
美しい幾何体験のワークショップします。
詳しくはこちらで。
http://books.e-waldorf.com/index.php?go=eTd2nl
6年振りの一時帰国です。
皆さんにお会いできるのが楽しみです。