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e-waldorf newsletter no.23
「算数教育〜シュタイナーとメインストリームの計算力」

2011.7.1


あっという間に7月。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
暑い夏に節電・・・日本の皆さんから、扇風機やうちわ、
衣服の工夫などの昔ながらの納涼の工夫が聞こえて来ます。
ある意味、自然に立ち戻る機会が与えられたのかもしれま
せんね。でも、くれぐれもお体にお気をつけくださいます
よう。

さて、今回は、「算数」について書いてみたいと思います。



私は、もともと数学教師。シュタイナー教育にひかれたの
も、シュタイナー学校での算数の授業に出逢ったとき、あま
りの奥深さに感銘を受けたためです。当時、日本のメインス
トリームの教育現場での子どもの数学力に悩んでいたのです
が、その問題点は、シュタイナー教育だったら起こらない!
・・・と直感しました。

ところが、シュタイナー学校の様子を見てみると、実は、
「算数ができない」というコメントをよく聞くのです。

実際のところ、シュタイナー学校(特に英米)の生徒の算
数、数学の力は驚くほど低い。算数の力というよりも「計
算力」と言った方がいいでしょうか。日本のカリキュラム
で教育を受けている子どもの方が、簡単な四則演算などは
パッと瞬時に答えを出すことができる。それに比べて、シュ
タイナー学校の生徒たちは計算が遅いのです。ですから、
日本人の親が、シュタイナー学校に通う子ども達の計算力
を見ると、「こんなのもすぐに答えがでないの!?」「大
丈夫!?」と不安になるようです。
(英米の場合、シュタイナー学校に限らず算数の力は一般
的に弱いですが・・・)



計算を速く正確にできるようになるには、地道な計算練習
が不可欠です。


シュタイナー学校の算数の授業では、身体を使って数を覚
えたり数字の規則性を身につけたり、手仕事や芸術活動を
通して算数を習っていきます。ところが、日本の学習シス
テムに比べると、絶対的に「計算練習」の量が少ないので
す。その結果、瞬時に計算の答が出てくるというような
計算力は身に付いていない。ただ、数字の規則性などは、
理屈を超えたところで、身体に身に付いているので、時間
をかけて基本に立ち戻ることができる。

その反面、日本の学校では、ドリルでの練習に重きを置い
ていますから、計算が速く、即座に答えを出す事に慣れて
います。つまり、計算の仕方を知っていて、方法だけは練
習を通して身に付いている。ただ、方法を知っているだけ
なので、数の規則性だとかリズムなどの数字の本質となる
部分は身に付いていません。となると、方法を忘れてしまっ
たらもうおしまいです。

日本の小学生〜高校生を見ていると、計算方法はさすがに
よく練習した様子が伺えて、紙に書いて計算をするときに
は、「考えずに」機械的に計算をしているのが分かります。
ただ、機械は機械。何かのミスで機械が狂って、間違った
答えを出してしまっても、機械はそれに気づきませんし、
もう、機械は、どういう理屈でその計算をしているかを
知りませんから、直す事もできない。もう一回やってみよ
う・・・とやり直してみて、何故か次は正しい答えが出て
来て、あ〜、ここが違っていたんだ・・・と直すことはで
きます。でも、「やり方」の違いに気づいただけで、どう
してそういう方法でいいのかは分からない。

「計算力」と言ったときに、私は、数字の規則性や、数字
そのもののもつ質、リズムなどが、身体に染み込んでいる
ことは絶対に必要だと思います。これが分からなければ、
四則演算どころか、数学なんてまったく分かりません。
そしてその反面、簡単な答えが即座に出てくる瞬発力も大
切だと思います。瞬発力は記憶を基にする生命力でもあり
ます。物事を動かす力。技術の力でもあります。


シュタイナー教育のほうがいい、悪い、というのではなく
て、両方とも必要なのです。ただ、シュタイナー学校も、
他の学校も、何故か偏っていて、そのバランスがよくない。

日本の文科省のカリキュラムで学んでいる子ども達が、
シュタイナー算数教育の要素を取り入れたら、もっと、奥
深くまで理解できる。今、私がメインストリームの学校で
目にして頭を抱えている問題点も、解決できるでしょう。

でも、シュタイナー学校が、もっと、適度に、的確に、計
算練習をとり入れたら、実践力と行動力になります。



どっちもいいところ、あるのです。
どちらも必要なのです。どっちがいい、悪いではなく、
両方の良い所を、オープンに取り入れていきたいですね。

実は、私の運営するe-waldorf では、算数のアクティビティ
を集めた「さんすう教室」を開催しようと準備していると
ころです。さんすうのことばかり考えていたら、さんすうの
記事を書きたくなってニューズレターのテーマにとりあげ
ました。





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シュタイナー教育でする、手足や身体、リズムを使ったアク
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