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意志/感覚/思考

シュタイナー教育では、
子どもの意志、感覚、思考をバランス良く育てる。

一言で、意志、感覚、思考と言ってしまうと、
語弊があるかもしれない。

意志

意志というのは、よく、
「あの人は意志の強いひとだ」
とかいうけれど、
この意味での「意志」と、
シュタイナー教育で使う「意志」は、厳密には同義ではない。

人智学でいう意志は、
「すること」
と言い換えた方が意味が近いかもしれない。

頭で考えたことを頑張ってするぞ~~。
・・・みたいな、力の入っていることばかりではなくて、
ただ、作業をすることや、
ただ行動することの意味が強い。

だから、シュタイナー学校で、
手仕事をしたり、
絵を描いたり、
楽器を奏でたりするのは、
全部「意志」を通しての教育の部分。

小学校1~4年生くらいでは、
子どもたちの意志の力に働きかけて教育をします。

つまり、「する」ということ。

身体を動かすのも、
編み物などの単調な作業をコツコツするのも、
意志の力に働きかけています。

意志の力に働きかけることで、意志が思考を鍛えます。

手仕事をしていると、頭が冴えてきます。
突然、いいアイデアがわいたりもします。
手仕事をしていて、何にも考えていないつもりでも、
頭は、自然に働いていて、
単調な手仕事の仕組みを身体から覚えて頭に浸透していきます。

老人が手を動かすとボケ防止になるというのも、
手の働きが頭の働きに繋がっていることの、
科学的に認知されたことがらですね。

感覚

この魂の3つの働きの中で、
感覚というのも大きな意味ですね。

感覚というと、
もちろん、人間が一般的に言う五感があります。

手で触れて、
目で見て、
鼻で臭いをかぎ、
下で味をみて、
耳で聞く。

それだけではなくて、

温度を感じ取る感覚や、
生命感覚や、
自己の動きの感覚や、
平衡感覚や、
言葉の感覚や、
概念を理解する感覚や、
自我の感覚など

まあ、シュタイナーは、
人間は12感覚もっているのだと言っているわけですね。

で、シュタイナー教育でよく使う、
意志/感覚/思考のひとつの「感覚」の中には、
「感情」の意味も入っています。

喜んだり、悲しんだり、起こったり、楽しんだりする、
あの感情です。

スプーンの制作過程

シュタイナー学校は、クラフトがたくさんあるのですが、
どの年齢で何をどのようにするのか、
大きな意味があるのです。

例えば、小学校5年生の木工で、
木のスプーンやフォーク、スパチュラなどを彫ります。

スプーンを彫るとき、
「一般的な」彫り方はというと、

画像の説明

既に製材された木材を使う。

画像の説明

デザインを考え、
木材の表面に、デザインを描く。
(木材にどのような木目があって色がどんなだ、
ということには、あまりこだわらず)

画像の説明

描いたデザインに沿って、切り、

画像の説明

画像の説明

細部を彫り、形をつくりあげる。

サンドペーパーで表面を滑らかにし、
ワックスかオイルを塗る。

という工程です。

シュタイナー学校の小学校5年生の、
スプーン作りはどうするかというと、

画像の説明

製材していない木、
木目に沿って割った木など、
自然の形がより残っている素材を使います。

画像の説明

素材をよく見て、触って、感じ取り、
その素材を活かすように、
周りを彫っていきます。

機械で作ったような、
左右対称な形に作り上げる必要はありません。

画像の説明

作りながら、
実際に使うことを考えながら手で持ってみます。

太さや長さはちょうど良いか、
手にちょうどフィットするような形になっているか、
使い勝手の良い反り具合になっているか、
などを、実際に確かめながら、
掘り進めて形を整えていきます。

こうやって作ったスプーンは、
手にしっくりとくる、使い易い形になりますし、
木目を活かしながら作っているので、
木の性質を妨げず、丈夫なスプーンができます。

そして、一番重要なところは、作り方の過程です。

前者は、主に「思考」の働きで作りました。
後者は、主に「感覚」の働きで作りました。

小学校5年生~中学校2年生くらいには、
「感覚」を通して教育をします。
この時期に感覚を磨きあげることで、
思春期になったころに、
思考の力を使って、
行動にうつす(意志)ことができるように
成長していきます。

ですから、小学校5年生のスプーン作りには、
後者のやり方を採用するわけです。

ただスプーン作りをすることが目的なのではなくて、
スプーンを作る過程でする体験が、
彼らの成長になるのです。

もちろん、出来上がったスプーンが、
実際に役に立つ道具であるという、
プラクティカルな理由も大切な動機付けです。