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「シュタイナー学校で育たなかった私」

2010/4/2

今日は、私のエッセイです。
思うことを書いてみました。
お付き合い頂ければ嬉しいです。

シュタイナー教育で育ちたかった。

シュタイナー教育というものを知って、まず感じたことです。同じよ
うに感じた人も多いのではないでしょうか。

今、シュタイナー教育というものを学び、シュタイナー教育の現場に
いて、もう一度あのとき思ったことを振り返ります。シュタイナー教
育で育っていたら、私はどう違っていたのでしょう。今の私より、ど
こがどんなふうに優れ、どれだけ幸せだったのでしょう。

そして、シュタイナー教育が他の教育に比べて何が素晴らしいのでしょ
う。シュタイナー教育で育たなかった私は、欠陥人間でしょうか。シュ
タイナー教育で育っていたら、もっと素晴らしい人間になっていて、
もっと幸せな人生を歩んでいたのでしょうか。

そう自分に問いかけると、心の内から強く「No!」という声が聞こえ
てきます。

私は、シュタイナー教育どころか、1980年代のとても厳しい管理
教育の中、詰め込み教育で育ちました。でも、私は、今まで生きて来
た人生の、間違いや恥ずかしい体験、消したい過去も含めて大切に思
いますし、この人生はかけがえのない人生だと確信するのです。楽な
人生を歩んでいるとは思いませんが、自分が幸せであることには自信
があります。

シュタイナー教育で育った人たちは「自由」です。本当の意味で「生
きる力」を持っていると思います。何があっても、自分の足で道を切
り開いていける底力があると思うし、世間や社会、習慣に捕われるこ
となく、自分の人生を歩んでいける人たちです。

シュタイナー教育で育たなかった私はどうでしょう。私には「生きる
力」が備わっていないでしょうか。

いいえ。そんなことはないと思います。自分で言うのも何ですが、か
なり逞しい「生きる力」が私にはあると思います。欠点や弱点のいっ
ぱいある人間ですが、自分の欠点も受け止めつつ、自由な精神でもっ
て世界の中で生きていると思います。少なくとも、それを目指してい
ます。

私の周りにいる多くの人たちもそうです。シュタイナー学校で育った
人は少数派です。でも、私は、メインストリーム教育で育ったたくさ
んの素晴らしい人たちを知っています。

シュタイナー教育に関心のある多くの人たちが言います。「私もシュ
タイナー教育で育ちたかった」「シュタイナー教育で育っていたらど
んなに素敵な大人に育っていただろう」と。でも、そう言いつつ、や
はり今の自分に欠点や短所があることを認めたうえで、自分の生き方
が好きだったり、自分という人間を認め、受け止めている姿勢が見受
けられます。そして、見事に自分の意志で自由に生きている。

・・・シュタイナー学校に行かなくても、十分に素敵な人になってい
るんです。

「シュタイナー学校に行っていたら、もっと・・・」
正直言って私もそう思うことがあります。でも、そう気づいている人
は、種を蒔いて育てるだけの大地を十分に耕していると思いませんか。
少なくとも、これから耕しても大丈夫なだけの栄養のある大地が準備
されていると思います。

シュタイナー教育で育ったからと言って欠点がない大人になるわけ
じゃない。人間ですもの。欠点はあります。それも、たくさん。でも、
自分の欠点を受け入れて、弱点があることに卑屈にならず、むしろ弱
点がある人間らしい人間であることに誇りをもつくらいのポジティブ
さで、前へ向いて進む人たちだと思います。芯の強さがあるように思
います。

つまり、シュタイナー学校に行かなくても、シュタイナー教育の目指
すところの自由な人間を育てることは十分可能だということ。

学校教育が終わってしまった、大人でも遅くない。

もちろん、これから育ち未来を担う子ども達には、可能であればシュタ
イナー教育で育って欲しい。でも、シュタイナー学校に行かない子ど
も達にも、素晴らしい未来を切り開いて力強く逞しく生き抜いていけ
る人間に育って欲しい。

そして、それは可能なのです。

私たちには、それを可能にしていける力があるのです。

私は、そう思います。信じています。